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AFABとは?「Assigned Female At Birth」の意味とLGBTQ+における重要性を解説

FtM治療

「Assigned Female At Birth」を表す「AFAB」

SNSやニュースなどで「AFAB」という言葉を目にしたことはありませんか?「Assigned Female At Birth」の略であるこの言葉は、近年、ジェンダーの多様性を語る上で重要なキーワードとなっています。しかし、具体的に何を意味し、なぜ使われるのか、疑問に思っている方もいるかもしれません。

この記事では、AFABの正確な定義から、それが個人の性自認やトランスジェンダー、ノンバイナリーといったジェンダーのあり方とどう関わるのかを、分かりやすく解説します。AMAB(Assigned Male At Birth)との違いや、この用語が持つ「性別二元論」からの脱却といった側面にも触れ、LGBTQ+コミュニティへの理解を深めるための一歩となる情報を提供します。ぜひ最後まで読んで、ジェンダーへの新たな視点を得てください。

AFAB(Assigned Female At Birth)とは?基本的な定義

「Assigned Female At Birth」を表す「AFAB」

「Assigned Female At Birth」(AFAB)とは、出生時に身体的な特徴に基づいて女性と割り当てられた人を指す言葉です。これは、個人の性自認とは必ずしも一致しない、出生時の割り当てられた性別を説明するために用いられます。AFABは「Assigned Female At Birth」の略で、出生時に割り当てられた性別が女性であることを意味します。この用語は、生物学的な性別と性自認(ジェンダー・アイデンティティ)を区別するために使用されます。

用語の由来と目的

AFABは、「Assigned Female At Birth」の頭文字を取った略語であり、直訳すると「出生時に女性と割り当てられた」となります。この言葉が生まれた主な目的は、個人の性自認と、出生時に医師や医療従事者によって外部から判断・記録された性別を明確に区別することです。

従来の社会では、出生時に割り当てられた性別がその人の一生の性別であると見なされがちでした。しかし、ジェンダーの多様性に関する理解が深まるにつれて、出生時の性別と性自認が一致しない人々(トランスジェンダーやノンバイナリーの人々など)が存在することが広く認識されるようになりました。AFABという用語は、このような人々の経験をより正確に表現し、性自認を尊重する包括的な視点を提供するために使われています。

「出生時の割り当て」という視点

AFABにおける「割り当て(Assigned)」という言葉は非常に重要です。これは、出生時に医療従事者が新生児の外見的な性器などの身体的特徴に基づいて、性別を「女性」または「男性」と判断し、戸籍などに記録することを指します。この割り当ては、あくまで外部からの観察に基づくものであり、その個人の内面的な性自認とは必ずしも一致しません。

つまり、「出生時の割り当て」は、社会や医療システムが便宜上分類した「性別」であり、その人の本質的なジェンダー・アイデンティティを決定づけるものではないという視点を含んでいます。この言葉を使うことで、私たちは出生時の身体的特徴と、その人が自身をどう認識しているか(性自認)とを分けて考えることができます。

AFABとAMAB、MtF/FtMとの違い

AFABとAMAB(Assigned Male At Birth)は、出生時の割り当てられた性別に焦点を当てるため、より中立的で包括的な用語とされています。従来の「MtF(Male to Female)」や「FtM(Female to Male)」といった用語は、性別移行の過程を強調するニュアンスがありますが、AFAB/AMABは、出生時の割り当てられた性別と性自認が異なる場合があることを認識し、単に「男性」または「女性」という二元論的な枠組みを超えて、より包括的な理解を促進します。

AMAB(Assigned Male At Birth)との比較

AFABと並んでよく使われるのが「AMAB(Assigned Male At Birth)」です。これは「出生時に男性と割り当てられた」という意味を持ちます。AFABが出生時に女性とされた人を指すのに対し、AMABは出生時に男性とされた人を指します。両者はともに、その人の性自認がどうであれ、あくまで「出生時に医療従事者によって割り当てられた性別」を示す点で共通しています。これらの用語は、性自認と出生時の性別割り当てを区別するために用いられ、ジェンダーの多様性を尊重する上で重要な役割を果たします。

従来の用語(MtF/FtM)との違い

これまでのジェンダーに関する議論では、「MtF(Male to Female)」や「FtM(Female to Male)」といった用語が使われることが多くありました。MtFは「出生時に男性と割り当てられ、女性として生きる人(トランスジェンダー女性)」を、FtMは「出生時に女性と割り当てられ、男性として生きる人(トランスジェンダー男性)」を指します。

これらの用語は、性別移行の「方向性」や「プロセス」を強調する傾向があります。しかし、AFABやAMABは、性別移行の有無に関わらず、その人の「出生時の性別割り当て」に焦点を当てます。この違いは、「性別二元論」的な見方から脱却し、より多様な性自認を持つ人々を包括的に捉えるために重要です。AFAB/AMABは、出生時の割り当てと現在の性自認が異なる可能性を認識し、特定の移行プロセスを前提としない、より中立的な表現として広く使われるようになっています。

なぜAFABという言葉が重要なのか?

性自認に悩む様子

AFABという用語は、トランスジェンダーやノンバイナリーの人々の経験を説明する際に特に役立ちます。これは、出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる場合があることを認識し、単に「男性」または「女性」という二元論的な枠組みを超えて、より包括的な理解を促進します。AFABという用語を使用することで、性別に関する二元論的な見方から離れ、多様なジェンダーのあり方を尊重する社会を目指すことができます。

性自認との区別

AFABという言葉が重要である理由の一つは、それが「性自認(ジェンダー・アイデンティティ)」とは異なる概念であることを明確にすることです。性自認とは、個人が自らをどのような性別であると認識しているかという内面的な感覚を指します。一方、AFABは「出生時に医師によって女性と割り当てられた」という事実を示すものであり、その人の性自認が女性であるかどうかとは直接関係ありません。この区別を理解することは、個人の内面的なアイデンティティを尊重し、出生時の身体的特徴だけでその人を定義しないという包括的な視点を持つ上で非常に重要です。

トランスジェンダーやノンバイナリーとの関連

AFABという言葉は、トランスジェンダー男性(FtM)や、出生時に女性と割り当てられたノンバイナリーの人々(例:ジェンダーフルイド、アジェンダーなど)の経験を説明する上で特に役立ちます。例えば、出生時に女性と割り当てられたものの、自身を男性であると自認しているトランスジェンダー男性にとって、「AFAB」という言葉は、自身の過去の経験と現在の性自認を区別して語る上で有効なツールとなります。また、出生時に女性と割り当てられたノンバイナリーの人々が、自身の性自認が女性という枠に収まらないことを表現する際にも、この用語は有用です。AFABという言葉を使うことで、出生時の割り当てと性自認の不一致から生じる課題や、多様なアイデンティティを表現する手段となるのです。

性別二元論を超えた理解

AFABという概念は、従来の「男性」と「女性」という二元論的な性別の考え方から脱却し、多様な性別・ジェンダーのあり方を包括的に捉える視点を提供します。社会は長らく、出生時の身体的特徴に基づいて人を「男性」か「女性」かのどちらかに分類し、その枠組みの中で役割や期待を押し付けてきました。しかし、AFABという言葉を用いることで、出生時の性別割り当てはあくまで「割り当て」であり、個人の全てではないという認識を促します。これにより、性別は多様なスペクトラム上に存在し、一人ひとりの性自認や表現が尊重されるべきであるという、より広い理解へと繋がるのです。

AFABの使われ方と注意点

AFABという言葉は、主にジェンダーの多様性に関する議論や、特定の医療的文脈で使用されますが、その使い方にはいくつかの注意点があります。

医療分野での使用例

医療現場では、個人の身体的特徴や医学的介入を正確に記述するためにAFABが用いられることがあります。例えば、ホルモン治療や性別適合手術(SRS)を検討する際に、出生時に割り当てられた性別と現在の性自認を区別して情報を整理するために使われます。

具体的には、AFABのトランスジェンダー男性が乳腺摘出術を検討する場合や、子宮摘出術の適応を判断する際など、治療計画を立てる上で出生時の身体的状況を指し示す記述子として活用されます。これは、患者の性自認を尊重しつつ、医学的に必要な情報を提供する上で有効な手段となります。

社会的な文脈での意味合い

社会的な文脈では、AFABは特定の身体的経験を持つ人々を包括的に指すために使用されることがあります。例えば、月経、妊娠、出産といった経験や、乳がん検診のような特定の健康課題に関する議論において、「出生時に女性と割り当てられた人々」という共通の身体的特徴を持つ層を指す際に用いられます。

この場合、性自認が女性であるかどうかにかかわらず、これらの身体的経験を持つ可能性のある人々を包括的に表現する目的で使われます。これにより、トランスジェンダー男性やノンバイナリーの人々など、性自認が女性ではないが、出生時に女性と割り当てられたために特定の身体的特徴を持つ人々も議論の対象に含めることができます。

用語使用上の注意点と配慮

AFABという用語は、ジェンダーの多様性を尊重するために生まれた言葉ですが、使用する際には以下の点に注意し、配慮が必要です。

  • 個人のアイデンティティではない: AFABはあくまで「出生時に割り当てられた性別」を示す記述子であり、その人の性自認やジェンダー・アイデンティティそのものを規定するものではありません。相手の性自認を尊重し、AFABという言葉でその人の全体像を決めつけないようにしましょう。
  • 当事者の感情に配慮する: 全てのトランスジェンダーやノンバイナリーの人がAFABという言葉を好むわけではありません。人によっては、出生時の性別割り当てを想起させることで不快感や苦痛を感じる場合もあります。相手がどのような言葉を好むか分からない場合は、直接尋ねるか、より一般的な表現を用いる方が安全です。
  • 不要な場面での使用を避ける: AFABは特定の文脈で有用な言葉ですが、全ての状況で必要とされるわけではありません。性自認を尊重する文脈で、その人の性別(男性、女性、ノンバイナリーなど)を表現する方が適切な場合も多くあります。必要性が低い場面では、無理にAFABを使うことを避けるべきです。
  • 文脈を理解する: AFABを使用する際は、その言葉が使われる背景や意図を理解することが重要です。単なる性別の分類としてではなく、ジェンダーの多様性を尊重し、性別二元論からの脱却を目指すという文脈で捉えるようにしましょう。

ジェンダーの多様性を理解するために

プライドフラッグを大切に手にする医師

AFABという概念の理解は、LGBTQ+コミュニティや多様なジェンダーのあり方に対する理解を深める上で重要です。この用語の理解を通じて、性別に関する二元論的な見方から離れ、多様なジェンダーのあり方を尊重する社会を目指すことができます。

包括的な視点の重要性

AFABを理解することは、性別が「男性」と「女性」の二つに明確に分けられるという従来の性別二元論から一歩進んだ、包括的な視点を持つことにつながります。性別は、出生時に割り当てられる性別、性自認、性的指向、性表現など、複数の要素が複雑に絡み合って構成される多角的なものです。これらの要素はそれぞれ独立しており、人によって多様な組み合わせが存在します。AFABという言葉は、出生時の割り当てと性自認を区別することで、性自認が多様であること、そしてそれが個人のアイデンティティの核となることを明確にします。この包括的な視点を持つことで、私たちは他者の多様なあり方を尊重し、よりインクルーシブな社会を築くことができるでしょう。

さらなる学習のために

ジェンダーの多様性に関する理解は、一度学んで終わりではありません。社会の変化とともに、言葉や概念も進化し続けています。より深く理解するためには、関連する書籍や専門機関が提供するウェブサイト、信頼できる情報源からのニュースなどを継続的に参照することが推奨されます。また、LGBTQ+コミュニティが主催するイベントやオンラインフォーラムに参加することも、当事者の声に触れ、学びを深める貴重な機会となるでしょう。常に学び続ける姿勢を持つことが、多様性を尊重する社会の実現に繋がります。

まとめ:AFABを理解し、多様性を尊重しよう

この記事では、「AFAB(Assigned Female At Birth)」という言葉について、その基本的な定義から、AMAB(Assigned Male At Birth)や従来の用語との違い、そしてジェンダーの多様性を理解する上での重要性までを解説してきました。

AFABは、出生時に身体的特徴によって女性と割り当てられた人を指し、個人の「性自認」とは区別される概念です。この言葉が使われる背景には、トランスジェンダーやノンバイナリーといった多様な性自認を持つ人々の経験を尊重し、性別を男性か女性かの二元論だけで捉えるのではなく、より包括的な視点を持つことの重要性があります。

AFABという言葉を正しく理解し、使用する際には、個人の性自認を尊重し、不要なレッテル貼りを避ける配慮が求められます。この理解は、私たち一人ひとりが多様なジェンダーのあり方を受け入れ、よりインクルーシブな社会を築くための大切な一歩となるでしょう。

今回の記事を通じて、AFABという言葉が持つ意味と、それがジェンダーの多様性を尊重する上でいかに重要であるかを理解していただけたなら幸いです。今後も、ジェンダーに関する知識を深め、誰もが自分らしく生きられる社会を目指していきましょう。

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